MATERIAL

素材について

資材について

ここは製靴用の道具、靴修理用の道具が半分づつあるような感じです。 道具の名称、使用用途はそれぞれ決まっていますが、実際は私はあまりその辺にはこだわっていません。 革切り用のナイフにもヨーロッパ仕様・日本仕様と両方ありますが、たまに普通のカッターで 切る時もあります。自分の使い勝手の良い様にやるのが一番です…。

■わに(ピンサー)

靴を作る際、アッパー(甲革)部分を吊り込むのに使用します。元々平面的なアッパーに立体の木型を押し付けることによって形を作ります。ピンと張ったサランラップに下からボールを押し上げると、ボールに沿って形が出来上がるのと同じようなもので、その際この「わに」を使います。その他にも叩いたり釘を抜いたりと大変便利な道具です。

■ハンマー(ポンポン)

靴の底付け用ハンマー。なぜか「ポンポン」という愛称がついているが、由来は不明。底付けに限らず何でも叩きます。

■ニッパー

よくあるニッパーです。どこにでも売っているニッパーです。おそらく製靴にはあまり関係ないと思うのですが、私の靴修理の一番の必需品です。剥がす、切る等、何にでも使える便利道具です!爪が長いと革を傷つけてしまう恐れがあるので、気になった時は仕事の合間にこれで爪を切っていました。(当方女性です。)

■へり落とし (エッジカッター)

革の縁を落とします。これで縁を落とした後、磨くときれいな縁になります。この作業をするだけでずいぶん見栄えが変わります!見えにくいのですが、真ん中に溝があります。

■厚革用はさみ

修理屋の時に愛用していたハサミです。きちんと刃を研げば、切れないものはありません!!今はこれで革を切る事はありません。

■カーブはさみ

少しだけ先端がカーブしています。靴を作った時の仕上げの際、裏地(ライニング)を甲革の縁に沿って綺麗に切る事ができます…が、それだけに限らず糸でも何でも切ります。

 
■突切(Awl・錐・目打ち etc)

「きり」です。革や型紙に印の為の穴を開けたり、素材を押えるのに使います。細かい所にノリを付けるのに使用したりもします。

■カッター

どこにでも売っているカッターです。ボディの部分は100均でも良いのですが、刃はOLFAの黒刃がオススメです!!普通の文房具屋さんではたまに売っていない所もありますが、東急ハンズ等に行けば必ず置いてあります。とても良く切れるのですが、時にはこれで革を切る事も…。(←他の職人さんが見たら怒られてしまいそうですが。)刃は惜しみなく使うのですぐ消費してしまいますのでいくつか買い置きをしておきます。

■革切り包丁 (24mm 36mm)

革切り包丁です。革は必ずナイフや包丁で切ります。ハサミで切ると、切った断面が綺麗ではないからです。小さい24mm幅の包丁は革漉き用に使用しています。一応手元には36mmの物もあるのですが、こちらは現在使用していません。右利き用と左利き用があるようです。

■革切りナイフ (ヨーロッパタイプ)

この革切りナイフは英国で購入したものですが、私は上記の革切り包丁ではなく、こちらを愛用しています。本当にヨーロッパ用なのか分かりませんが、ナイフの表面に「Made in England」と書いてありますので私の中では(これはヨーロッパタイプ)という事になっています。購入した際、二種類の刃(フックカッター風と、普通の刃)が付いていましたが、あまり使い分けには気にしていません。

■ディバイダー (スプリングコンパス)

数学の時間で使用したような片方が針、片方が鉛筆…ではなく、これは両方共金属になっています。これで型紙や甲革に印をつけます。

■モデラ

筆で付けるとベチャッといきそうな細かい部分にのりを付ける際に使用します。(例:付属品など。)彫刻技術の一つとしてモデラを使用した「モデリング」という、革の表面に模様を浮き上がらせる方法があるらしい。という事を最近知りました…。ずっと、のり用の専用ヘラだと思っていました。

■フォールディング ハンマー

甲革の縁の部分を折り、形や見栄えを整える作業がありますが、それを英語で「folding」といいます。上の平たい部分で折った所を押さえ、下のハンマー部分で軽く叩いてあげると仕上げの際のミシンがけがとても楽になります。

■マスキングテープ

絵を描いたり、内装する際にも使用されているテープです。表面に物は書けるし、剥がしやすいし、何でも仮止めの時にはとても便利です。製靴では靴の型紙を作る時に使用します。一番最初、靴型にマスキングテープを丁寧に何重も貼り、その上に自分の好きなデザインを書きます。バランス等も見てOKが出たらテープをはがし、これを紙に貼り付けてやっと立体的な物が平面的に変身するのです。

■瞬間接着剤

どこにでも売っているおなじみの物です。私はこの瞬間接着剤が大好きで(とりあえずこれがあれば何でもくっつくだろう。)という信念のもと、色んな種類を何本も買ってしまいます。一流ブランドではなくても、最近は100均の物でも十分立派にくっつきます。特に「○○の時に使用する」という決まりはありません。
(要するにあってもなくてもどちらでも良いということです。備えあれば憂いなし。)

■ストレッチングリキッド (ストレッチャースプレー)

革を柔らかくする時に使用します。靴がきつくて足に当たる時や、足入れをやわらかくしたい時に最適です。このスプレーも東急ハンズなどで購入することができます。ストレッチャーをお持ちでしたら、このストレッチングリキッドをかけてからストレッチャーへ。数日間置けば、だいぶ靴の横幅を伸ばす事が可能です。(合皮は×。スウェードや色の薄い革はシミになるので避けて下さい。エナメルも表面がひび割れることがあります。)修理でヒールに巻革を巻く際に(少し付けすぎかな…)というくらいこのリキッドを付け、革が良く伸びる状態にしてから接着をします。そうするとカーブがある部分にもシワが入る事なく綺麗に付けられる為です。魔法の水です。

■タックス (馬丁タックス・釘)

靴の吊り込みの時などに使用します。(タックスは打ち込むと中で曲がるようになっているので、サンダルのストラップ等が壊れた時に短いタックスを打ち込んで止めたりします。)吊り込みは靴型に対して甲革が少しでもゆがんでいたり、緩みがあってはいけないので「引っ張る→タックスを打つ→引っ張る→タックスを打つ」を繰り返します。その時はタックスをいくつか口の中に含み、ピンサーでつまんで打つという大工さんスタイルになるのですが、焦っているとピンサーで下唇を挟んだりして大変な事になります。目的に応じて長さを変えます。

■ラスト (靴型)

靴を作るためには、足の形に基づいて作られた靴型が必要となります。とりあえず靴型がないと何もできません。メーカさんにとってはその会社の命とも言えるのではないでしょうか。 靴型は、製靴法の違いにより「木型」と「金型」が使われてきました。最近ではプラスチック型が主流になってきています。

■ラスト(台金)

「靴型」は製靴に使用するものですが、こちらの「台金」は修理用の台になります。台の部分は紳士靴用、婦人靴用、かかと部分用などがあります。これに修理する靴を差し込み、底を修理したり、ヒールの化粧を付けたりします。

■定規

私が使用しているものは、センチ表示とインチ表示が両方付いています。地面に立ててヒールの高さを測ったりするのにも使用するので、「ゼロ」の横に余白のない物(分かり難い説明でごめんなさい)の方が使い勝手が良いかと思います。

■シルバーペン

革用のチャコペンシルのようなものです。なぜ、シルバーなんでしょう?

■クレップ

生ゴムの底材をお手頃な大きさに切って使用します。ゴムのりやちょっとした汚れだったら、こすれば綺麗に落ちます。(スウェード・ヌバックは×)

接着剤について。

製靴や革製品を作るのに使う接着剤には色々な種類があります。 少し難しい言葉が出てきますが、基本は主に「ゴム糊」を使用しています。 (ゴム糊はクラフトショップ等でも簡単に購入できます。) また、接着度の強度などをテストしてくれる所もあります。

1:Vegetable Paste

植物やでんぷん、デキストリン(でんぷんの派生物)を原料とした、水に濡らして使う接着剤です。 主に箱を組み立てる時に使ったり、紙を貼る時に使います。

2:Rubber Latex

アンモニアか天然の水性乳化材で安定させた合成のゴム。(通常は40から60%の固体を含んでいます。) 靴の底付けの際、革の仮止め又はクレップ(デザートブーツなどに使われている天然ゴムの底材)を止めるのに使います。接着する前に必ず完全に乾かす事が重要です。(15分以上が望ましい。)しかし熱に弱く、油や油性物質、溶剤が付着しても溶けてしまいますので注意が必要です。

3:Natural Rubber solution

四塩化炭素かベンゼンなどの溶剤で溶かされた天然ゴムの溶液。クレップとクレップを接着させるのに使用します。ラバーラテックスと同じく、熱や油に弱い為、他の素材を張り合わせるのにはあまり適していません。

4:Neoprene Adhesives

「Neoprene」(ネオプレン)というのはDu Pont社のポリクロロプレンの商標名でもあるので通常では「Polychloroprene」(ポリクロロプレン)と呼ぶ事もあります。(それでも世間ではネオプレンと言う方が一般的です。)素材によって異なった特性があり、断熱性(保温性)に優れた素材(合成ゴム)です。接着剤の溶剤混合の量によって接着剤の粘着性と乾燥時間が変化します。

5:Polyurethane Adhesives

なじみ深いであろう言葉、「ポリウレタン」系の接着剤です。分子構造によって異なった特性があります。ポリウレタン系接着剤はPVC可塑性(←固体に外力を加えて変形させ、力を取り去っても元に戻らない性質。)油分、油により高い抵抗を持っています。

6:Hot-Melt Adhesives

ホットメルトには合成のゴムというよりもむしろプラスチック的な物質性のゴムが含まれています。 最もうまく接着できる素材はポリステル、ポリアミド樹脂、EVA、ポリエチレン等々です。漉いた後の革を折って作業したり、底付けの種類の一つである「Thermocement Lasting」(セメント式の一つ。)に適しています。製造、構造ともにとても簡単で作業行程もすくなくコストも安くつくので量産向き。また素材の使用範囲も広くて軽くてかえりのよい靴が作れます。現在靴の9割以上がこの製法になります。

7:Nitro-cellulose Adhesives (Pyroxylin)

ピロキシリンはアセトングループの強い溶剤で溶かされたニトロ化合物セルロースから作られます。 これらの接着剤は、履き物産業に使用された最初の合成接着剤でしたが、後にほとんどをネオプレンとポリウレタン系接着剤に取り替えています。

(おまけ)
8:プライマー3S

塗料の密着を向上させる為に接着剤の下地として使います。原料はトルエンが主体です。シンナーで代用する人もいます。主にゴム糊だけでは接着しきれないウレタンやゴムなどを張り合わせる時、プライマーを使って表面を溶かし、接着の強度を強くします。よく乾かして使用する人と、プライマーを塗った直後に接着剤を塗る人がいますが、私は前者です。

ヌメ革について。

ヌメ革とは、厳選された良質の牛皮を長時間かけて丹念になめし加工されたナチュラルな皮です。 やわらかすぎず、硬すぎず、革本来の風合いがとても心地よいのです。 他の革に比べて、傷や血筋の後がそのまま出てしまうのです。 人によってはあえてそれがいい!という方もいますが、 作製する際にはなるべく傷などの少ない物を選びだしています。 …が。あなたや私の皮膚にもシワや傷があるように、 動物の体にも傷やシワがあります。 ヌメ革はあまり伸ばす事ができない為、シワ等も残ってしまう事が多いのですが、 それが自然皮革ゆえ…なのでご了承下さい。