INTERVIEW

月花女王様・3〜ショーに対する考え方〜

月花女王様・3〜ショーに対する考え方〜

月花女王様・3〜ショーに対する考え方〜

●月花さんのショーを観て思うのは、やっぱりオリジナルだなっていう。唯一無二というか、独立されてますよね。ショーに使うアイテムっていうのは色々使う方なんですか? 鞭だとか。

月花女王様: たまにですね。正直、あってもなくてもいいかな。針はマストではないけど、あれば出来ることの幅が広がるっていうかんじで捉えてる。何にせよ、まずは「絵」ありきですね。最初にどんな絵にしようかなって考えて、じゃああれ持っていこう、これ持っていこうっていう感じで。

●絵をまず想定してからの道具といった感じなんですね。曲でいうと先にサビがあって、というかんじですか?

月花女王様: サビかケツってかんじかな。曲作るときは逆で最初の一語をきめて、字で書いてみてその字面に惚れたら作る。

●なるほど。ショーの道具で逆ってことは無いんですよね? まず針を使うからこういう絵にしてみよう、というようなのは。

月花女王様: ああ、そうですね。針って針そのものがいいっていうより、あの血が出る速度がちょうどいいんですよ。18Gくらいの針って、刺して抜いたときのあのぷくっと盛り上がって血の玉ができて重さで崩れてツーっと落ちるっていう。あの速度ってちょうどよくないですか? クラブイベントで見るのに非常にいいんですよね。気持ちいいリズムで出るじゃないですか。
月花女王様・3〜ショーに対する考え方〜

●気持ちいいリズム!! たしかに、リズム感って重要ですね。観ていてテンポ良く展開していくショーの方がいいですしね。これからそういった意味で取り入れたい道具なんかってありますか?

月花女王様: ある。近々買う予定なのはナイフですね。お日様みたいな形で、いっぺんに何個かの傷がつくんですよ。もともとは本格的な武器としてデザインされたもので。そのまんまですね(笑)

●そのまま武器(笑)。武器屋さんみたいなところって面白いですよね。

月花女王様: うん、よく行きます。中華街とかも行く。こないだ中華街でキセル買っちゃいました。苛立っている表現の時に『コン』ってやりたくて(笑)。武器も色々ほしいんだけど、武器だけは自分で1から作れないなぁって思って。やっぱり武器屋の武器はいいですよ。持ちやすいし、色々考えられてるなぁと思って。ブランド志向ではないけど、専門家好き。もちはもち屋だと思って。靴は靴屋、武器は武器屋。専門家には勝てないですね。

●もちはもち屋(笑)。なるほど。あ、ショーをする時、モデルさんとの衣装のコーディネートとかはするんですか?

月花女王様: なんとなく(笑)。電話で軽く話しあうくらいですかね。事前の打ち合わせっていうのはほとんどしないです。出はけのタイミングとか、だいたいあの位置でやろうかとかこっち向きで、とかの指示はするけど、あんまり詳しくは話さないですね。あんまり説明しすぎて頭でわ〜って考えられちゃうと、演技しようとしちゃうでしょ。VTRの時は説明するんだけど。設定がこうでこうゆう流れでとか。

●なるほど、自然な演出ができなくなってしまうという。

月花女王様: でもイメージはよく話しますね。あんまり早い感じにしたくないとか、こうゆう世界観でいきたいとか。逆にそれで彼女達のアイディアを見たいっていうのはある。何をもってくるかとか。私がこうゆうかんじにしたいんだよね〜、って話したことで、どんな服を持ってくるかとか、これが使えそうなのでもってきました、とか小道具を持ってきてくれたりするのを、逆に『あぁなるほど〜』って思ったり。

●反応を見たいっていうのは分かります。月花さんのショーの相手は女性が多いですけど、それは何故ですか?

月花女王様: それは、女の子の方が絵面が決まるから。あとは女の子の身体の柔らかさって独特で、男をドンって倒したらボテって倒れる人が多いけど、女の子はよろよろ、バタンってなるでしょ? 独特の硬さと力強さが男の身体にはあるからね。演技じゃなくてもだいたいの女の子は突き飛ばしたらよろけるんだよね。そのときのくねり感とかもいいし。女の子の方が、ひっぱり回したときに何の打ち合わせもしていなくても、思い通りの身体の動きが出るから。

●だから女の子なんですね〜。月花さん自身の衣装っていうのはそのときのイメージによって色々かわってくるものですよね?

月花女王様: そうですね。だけど、ショーの時って、自分がどんな格好をしてなきゃいけないっていう意識はあまりないんです。動きやすく、その空気を壊さなければとりあえずはアリかな。相手の女の子がこういうのを着てて欲しい、っていう強いリクエストはあったりしますけどね。ショーにおいてはあくまで私は職人で、彼女達が華だから。
月花女王様・3〜ショーに対する考え方〜

●ああ、彼女たちを引き立たせるというかんじですか?

月花女王様: そうですよ。私は単体のグラビアとか以外では目立とうっていう気はまったくないんですよ。ショーの時に感情移入して欲しいのは女の子達の方で、女の子達の痛い・辛い・せつない、っていう感情をお客さんがうまく汲み取ってくれて、お客さんの感情も盛り上がってくれるっていうのが一番だから。私なんて見なくていいって思ってて(笑)

●月花さんが最大限に引き立てるから、女の子達を見て感情を汲み取ってくれ、と。

月花女王様: そうそう。私は彼女達を引き立てる為にいるわけだから。で、そんな彼女達を扱ってる私の動きが汚いっていうのもなんなので、動きを綺麗にしているといったかんじ。

●引き立てるために、というのが前提としてあるんですね。

月花女王様: 私はショーの中で自分を考えるときに、空間の一部と考えるようにしてて、もし不思議の国のアリスに例えるなら、彼女達が迷い込んでしまった異空間の中のボスが自分、みたいなかんじかな。異空間のボスは異空間とセットであり、迷い込んできた彼女達とは違う存在なので。

●徹底した外部を演じきるっていうことですね。異空間そのものとしての存在になることで迷い込んだ彼女たちを引き立てている感じなんですね。

月花女王様: だから、彼女たちがいかに可愛く見えるか。そこが勝負ですよ。私がこれだけ可愛く思っているという気持ちが最大限に伝わらないのならやらない方がマシ。勿論相手によってやることも変わってくるし。意識的に職人意識が強いんですよね。だからあんまりエロをどうこうとか、自分が有名になってどうこうっていうのは実はあまりない。それは周りが自分の事を認めてくれて、ショーをやれる環境があって、いかにクオリティーを保つかっていうことは考えるけど。

●職人ですね〜。自分が表に立って出て行くというよりはショーとしてのトータルで完成度を高めたいという姿勢なんですね。そういう感覚っていうのは鍛えていないと衰えますよね? その辺はどうですか?

月花女王様: 感覚の鍛え方? それは、良い物をみることかな。いい物を見て、いい物を食べて、感覚とか感情を殺さないことが大切。例えば、マクドナルドがこの世で一番美味しいと思っている人にはマクドナルド以上の料理は絶対作れないから。いいものを見て、いい刺激を受けて。いい時間を過ごすっていうのが必須ですね。

●日常的な経験という意味で充実させていくことが大事なんですね。

月花女王様: 一般的に、『今日は忙しいんだよね』っていう『忙しい』の中に演劇鑑賞だったり、コンサートに行くっていうのが『忙しい』に含まれると思うのね。私に何か仕事を頼んでくれる人がいたとして、演劇を見るとかって、打ち合わせと同じ位重要なものだと思うの。だって、そういう刺激を受けてないと惰性でやるよ!? っていう話でしょ。今日のショーやりたくないなぁ、って思ってイライラしながらやりたくないもん。人に遊びを提供するなら、人より遊んでいないと、と思って。娯楽を提供する以上ね。

●提供する側が経験を積んでいない場合ってたしかに薄っぺらいものになりがちですからね。それは豪遊するっていうような意味じゃなくて、とにかく充実した時間を過ごしておくっていうことですよね。

月花女王様: そう。決して贅沢をするという意味ではなくて、今ってお金をかけなくてもいい物が手に入るじゃないですか? BOOKOFFとか凄いですよね。とにかく安い! 中古CDとかもすごく安いし。本とか音楽とか映画って本当安いなぁ〜って思うとね、なんて昔より生き易い世の中になったんだろうって。昔レコードって高かったでしょ?本とかも今100円とかで買えちゃうし。まぁ、良い物も悪いものもあるけど。宝探しですよね。中古レコード屋と古本屋は。

●けっこう探したりとかします?

月花女王様: たくさん物がありすぎて、良いって思うものを探すのは大変だけどね。そこは感覚で。感覚がある程度鍛えられている人って、きっと昔は思いっきり外してたと思うんですよね。で、そのうち当たりを引けるようになったんじゃないかな。
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●経験、ですね(笑)。話は戻りますけど、そうした感覚で選ぶ月花さんのショーにおける衣装ってどんな感じなんですか?

月花女王様: 私は、普段のショーの時でもそんなにボンテージっぽいものは着ないですね。ロングドレスとかが多いかな。たまにミニも着るけど。やっぱりこのお仕事をはじめた頃って、実はボンテージっぽいものを着ていた時期もあったんですけど、さっきも話したように「どこで切っても金太郎飴」という考えで選ぶから。だから下着としてこういうの(ボンテージ)を着ていた時期もありましたね。脱いだらいつでもボンテージ、みたいなかんじだったので、日常着でしたよ。でも店とかをやりはじめてからはだんだん着なくなったかな。ボンテージ=エナメルっていう記号みたいになってるのも嫌だったし。<自分がやっていることが果たしてSMなのか? っていう疑問もその頃あったし、エナメルというものが自分の中でマストではないし。それでもショー全体の絵として、ボンテージファッションが必要だったら勿論着るし、個人的にこういうファッションは勿論好きなんですよ。かわいいなぁって思うし。女の子はやっぱり綺麗な格好してるといいなって思うし、自分が好きな格好してるとテンションもあがるしね。

●でも好きな格好でやらないしやれないっていう人、多いですよね。あまり好きじゃないけど、SMだからボンテージじゃなきゃダメだと思う、みたいな。

月花女王様: もっと自然に着られればいいのにね。こういう文化が自然にならないものかと思いますよ。表の文化やメディアにバンバン出ればいい、というわけではなくて…、やっぱり美意識なのかな…。

●私としては、普段クローゼットでお洋服を選ぶときにも選択肢に入っていてほしいなっていうのはありますけどね。

月花女王様: Succubusのものとかはむしろ普段着で着て欲しいなって思うけど。あまり衣装と普段着の境を作るというのが好きではないので。コルセットとかでも、下にジーパンやショートパンツを履いたら普段でも着られるし。まずは特別着という意識をとり除きたいな、と。フェティッシュってそんなに特別なことじゃないと思うのね。

●日常的にあるものという認識ですか? Succubusのものも普段着として着られそうですかね?

月花女王様: うん。Succubusのものも組み合わせとかコーディネート次第で、普段から着られるものだと思う。チュールマーメイドとかも、下にショートパンツをはけば全然OKだし、ブラックポリスとかも普段から着れる! Succubusの服は私的には普段着でも着れるラインですね。全体的に。ショーの時の衣装と普段着、兼用とか割と多いですから。

●世の中の人たちが皆月花さんのような感覚でいてくれたらおもしろいんですけどね。普段着としてコルセット着用、みたいに。

月花女王様: Succubusのこういうコルセットとか、もっとみんな着ればいいのにって思う。ヘンな仕切りを置かないで、アクセサリーなんかと同じ感覚で気軽に着れたらいいよね。

●そうですよね。気軽に、ちょっとしたお洒落儀着感覚でSuccubusを着るっていう。

月花女王様: そう、気軽にっていうのが重要。変に意識する必要はないですから。みんな着たい物を自由に着たら楽しいと思いますよ。

photo by :marc, 倫♂

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